前回(下)の続き。
エンジニアによるファイナンス訓練 (企業の最適資本構成編) - ボクココ
期魚の資金調達方法である債券と株式発行の仕組みと、その価値の評価方法について。
債券
定期的に一定の利子を支払い、所定の満期日に額面金額が償還することを発行体が約束している証券
利率・・ 債券の額面に対して何%の利息がつくかの割合。
利回り・・投資元本に対して1年当たり何%の収益が得られるかの割合。利回りは価格変動によって変化する。
直接利回り(直利)
直利 = (年利率) / (購入価格) * 100 ・・・1 100円当たりのインカムゲイン = 年利率 * 100 1円辺りのインカムゲイン = 年利率・・・2 2を1に代入すると、 直利 = (1年当たりのインカムゲイン) / (購入価格) * 100
例) 債券の発行時に100円で買える。年間5%の利率
- これを100円で購入すれば、利回りは 5 / 100 * 100 = 5(%)
- これを90円で購入すれば、利回りは 5/ 90 * 100 = 5.56 (%)
- これを110円で購入すれば、利回りは 5 / 110 * 100 = 4.55(%)
単利最終利回り
1年当たりのインカムゲインとキャピタルゲインを合わせた利回り
単利最終利回り = (1年当たり のインカムゲイン + 1年当たりのキャピタルゲイン) / 購入価格 * 100 = ( 受け取り利息 + (額面 - 購入価格 ) / 残存期間 ) / 購入価格 * 100
年複利利回り
(残存期間)√ ((額面金額 / 購入価格) - 1) * 100
この式は、例えば 90円 -> 100円 を5年かけて達成したときの年利
90 * (1 + x)^5 = 100
のxを解いた計算式。
債券価格の決め方
= それぞれのキャッシュフローの現在価値の合計
例) 3年満期の債券(額面100円) クーポンレート5%, 金利3%
これの現在価値
50 / 1.03 + 50 / 1.03^2 + 1050 / 1.03^3 = 1056.37 円
将来1150円手に入るのの現在価値が1056円程。
金利を6% にすると、これの現在価値が973円に減少。
つまり、
金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がる
複利最終利回り
上記の債券が950 円で売買されている場合、金利rとすれば、
50 / (1+r) + 50 / (1 + r) ^2 + 1050 / (1 + r)^3 = 950 となるrを求める。
これは実は内部収益率を求める方法と全く同じ!
本当の債券価格の決定
通常rは年を通じて変化するもの。(各年の金利をスポットレートという。) それぞれの年の金利を使ってキャッシュフローの現在価値を求める。
その債券各区から複利最終利回りを求める。
株式
株価はどう決まる?2つの考え方
- 企業の業績や将来性とは無関係に市場参加者の心理の相互作用として形成される
- 基本的には株価は企業の将来性や収益力を反映する
つまるところ・・
将来(永久)の配当を株主資本コストの割引率で求めた現在価値の合計
企業価値を求める
類似企業比較法(マルチプル法)
DCF法より現場ではすぐ計算できるためよく使われる。
上場企業をベンチマークとして、その企業の財務指標などから評価倍率を求め、企業価値を推定する方法
- 評価対象企業に類似した企業を選ぶ
- それぞれの比較対象企業の企業価値を算出し、その企業価値がEBITDA などの指標の何倍になっているか(マルチプル)を計算
- 評価対象企業のEBITDAなどの指標に、2で求めたマルチプルを掛ける
- 評価対象企業の企業価値が求められる
EBITDA(Earnings Before Interests, tax, Depreciation & Amortization)・・営業利益 + 減価償却費
粗利に対し支払い利息、税金に加えて、減価償却費を差し引く前の利益
マルチプル法ではよくEBITDAが使われる。
- 合計基準が異なる海外の会社と日本の会社を比較できるため
- 類似企業でも設備の耐用年数の違い等で減価償却費が異なる会社を比較することができる