ども、@kimihomです。
今日はWebサービスにおけるビジネスモデルの話。 一般的にConsumer を相手にするサービスは "BtoC" と呼ばれ、Business を相手にするサービスは"BtoB" と呼ばれる。日本ではまだまだこの二つのどちらか、といった印象が強い。
ただ最近の US のスタートアップの事例を見てみると、そうではない印象を受ける。それこそ、 開発者(Developer)を相手にするサービス "BtoD" がビジネスモデルとして多く登場してきている。
今回はこの BtoD サービスについて考察する。
BtoD サービスの例
大きなくくりでみると、プラットフォーム、デベロッパーツール、そして API として分類される。
プラットフォーム
プラットフォームではApp Store や Google Play などのアプリプラットフォーム、クラウドサービスを提供する AWS, Azure などをはじめとした、開発者に何かを作らせるためのプラットフォームを構築する。開発者はそのプラットフォーム上で動く"サービス" を作り、開発者たちがその収益を生み出し、一部をプラットフォーム側に還元する仕組みだ。これを作るには大掛かりなプラットフォーム開発が必要だし、Windows アプリなどがいい例のように、開発者が見てくれなければ大掛かりな仕組みを作っても収益の上がらないビジネスとなる。
日本ではゲームプラットフォームとして Gree や DeNAがうまくやった事例としてあるかと思う。このように、プラットフォームとして成功すれば、収益性の高いビジネスを構築できる。
デベロッパーツール
デベロッパーツールは開発者のサービス開発をサポートするツールだ。 これらを展開するサービスの例としては、 Heroku アドオンをみるのが一番いい。 ここにあるもの全てが開発者をサポートするためのツールである。
データベースをクラウドで提供したり、メール・動画変換、データ解析、CIツール、決済サービスなどあらゆるサービスを開発者向けに提供し、開発の手助けをしてくれるものとなる。
デベロッパーツールを開発者が利用するメリットとしては、詳しい知識がなくても例えばMongoDBを扱い、細かな運用面は提供側のスペシャリストに任せられる、という点にある。そうした専門知識を有する人を雇うより、サービス利用料として出費したほうがコストは低い。そう考えると、デベロッパーツールを利用するメリットがみえてくる。
日本でもようやく最近このようなデベロッパーツール向けのサービスが出てきた。が、やはり類似したUSの成功しているサービスのほうが完成度が違う。日本語サポートがあるくらいがメリットか。
API
一般的な BtoB, BtoC サービスを提供している会社でも、API を提供すれば BtoD 向けも同様に展開することができる。
これの最も良い例は Salesforce ではないかと思う。 Salesforce はアプリを提供でいるプラットフォームすら用意しているが、それとは別に Rest API として顧客情報などを簡単に取得、更新できる仕組みが整っている。
これは開発企業にとっては大きなビジネスチャンスだ。 Salesforce の基本機能以外でどうしても欲しい機能があった場合、Salesforceの仕組みを理解したデベロッパーがその案件を受け持つことができる。Salesforceの中の人はビジネスのコアに集中でき、それぞれの要件は外部のSalesforceデベロッパーにやってもらうようにするのだ。こうすれば誰もがハッピーな環境を構築できる。
それとは別に、サービスの公開APIを利用すれば、開発者が自由にアプリを作って公開することができる。それはスマホでもWebでもなんでも可能な、色々なアイディアを実現できる仕組みである。
こうすれば、作ってくれた人は、そのサービスを色々なところで告知してくれるし、API提供側は作ってくれました〜とPRしてあげるだけでよくなる。勝手に自社サービスを告知できる仕組みができる。
公開可能なWeb API を提供することはどのWebサービスでも実現できることなので、早めに考えてみるべきである。
その際は Amazon API Gateway を利用すれば、外部公開向けAPIを迅速に作ることが可能だ。
BtoD のメリット
開発者に気に入られるサービスさえ作れば、あとは開発者が作ってくれる、という点にある。そして開発者が自由にコミュニティーに貢献してくれたりする。
基本的に開発者は最新情報に敏感だ。てことで BtoB や BtoC よりも、最初の顧客を獲得しやすい。もちろんそれでマネタイズ、となるとまた時間のかかる話になるが。
API提供者としては、そのサービスを開発者に向けて公開することで、どれくらい開発者が喜ぶのか、儲けられるのかを考える必要がある。それがうまくハマれば、自然にグロースする仕組みが構築でいる。
これらに共通して言えること
さて、BtoD サービスを作ったはいいが、どのようにしてそれらを広めていくのだろうか。
「ハッカソンを開催・支援する」「セミナー・勉強会を開く」「書籍を書く」といった開発者にアプローチする方法くらいだ。日本では日々、あらゆるハッカソンやセミナーが開かれるが、ほぼ全て目的は自社BtoDサービスの告知・普及といっていい。
デベロッパーツールに関して言えば 先ほど紹介した Heroku Addon などのプラットフォームがあれば、よりよいアプローチができると思うのだが。それも Heroku などの基盤がないと厳しいので、日本でそうしたサービスを提供している会社が頑張って欲しいところである。
日本でも BtoD サービスが徐々に広まりつつある。