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「風立ちぬ」を見ての感想

ども、@kimihom です。

さて今回は風立ちぬって映画を見たので、それについて思ったことを書いてみる。タバコ吸いすぎだが、いい映画だった。

風立ちぬ

風立ちぬ

以下は私が受け取った感想ってだけなので、まぁあんまり深く突っ込まれたりすると困るので気軽に読んでいただけたらと思う。

"矛盾"

私がこの映画で一番しっくりきた言葉が「矛盾」である。主人公の同期でライバルである本庄が雑談めいて話していた矛盾についてだが、この映画全体に言えることのように思えた。

P.S. この記事書いた後に調べてみたら、宮崎監督自身が「矛盾」って言葉を使ってこの映画を表現していて、びっくりした

その矛盾に対する自分の答えを、宮崎駿はそろそろ出すべきなんじゃないか。僕はそう思った。年も年だし。これはやっておくべきじゃないか、と」(2013年5月9日、東京新聞より)

私が宮崎アニメで一番すきな"耳をすませば"と、この"風立ちぬ"はかなり大きな相関を持っているように思う。"耳をすませば"では、自分の信じる道を生きるその美しさを私たちに教えてくれている。しかし、この"風立ちぬ"は、夢を追い続けることで失ってしまう代償のようなものをリアルに描写しているように見えた。

この映画の最大の矛盾は、彼は純粋に飛行機を作りたいのに、それは戦争に使われるということだと思う。自分が作りたい飛行機を作ったら、それはたくさんの人を殺してしまうのだ。それでも彼は飛行機を作ることを選択した。そして妻が結核という難病を患っていたのにも関わらず、彼は仕事に打ち込んだ。それほど彼の夢への意識は強く、空を自由に飛ぶ飛行機の設計士になりたいという思いに向かって忠実に動いていたのだ。

しかし、大きな夢を実現した(最後のシーン)瞬間、今まで大切にしてきたものを失ってしまったことに気づく(妻や飛行機に乗った人々)。それはもう終わったことで戻ってくることはできない。夢に向かって突き進んでいった結果、同時に多くの人を亡くしてしまったのだ。その矛盾に対する悲しさや現実と向き合って、それでも生きねばならない。私にとって"風立ちぬ"はそんな映画だった。

私が大好きなシーン

風立ちぬの後半はそりゃあもう悲しい悲しいの連続なんだけども、その中で私がとても大好きな1シーンがある。それが、主人公の彼が主催となって開催した「自主的な勉強会」だ。その空間にいる人たち全てが目を輝かせ、未来の理想の飛行機について語り合っている。彼らの目的は「いい飛行機を作る」それだけであり、その先どんな使われ方になろうとかは一切存在しない。男たちの夢とロマンが詰まったあのシーンはこの映画で最大の見所だと思う。こちらもワクワクするし、あのシーンで得られるワクワクな心こそ、夢に向かって突き進んでいる状態そのものような気がしている。夢を見つけ、何かに夢中になった時に得られる高揚感をあのシーンでうまく表現されているように見えた。

私が抱える矛盾

さて現実に立ち返って、インターネットの世界に生きる私の矛盾についてもちょっと触れておきたい。

「インターネットは人々の生活をより便利にした」とはよく言われる。確かにインターネットで人と人との距離は劇的に短くなったし、今までやっていた作業は全部自動化され、あらゆるものがコンピュータに置き換わった。

しかし、私はインターネットこそが現在の不況や格差を生み出している根幹のような気もしているのだ。今までコンピュータがなかった時は、その作業を「人」がやっていたわけで、それだけで仕事がたくさんあったのだ。それが全部コンピュータに置き換わった今、その人たちがやれることっていうのはどんどん失われているし、今後もロボットが台頭すればますます格差は広まっていくだろう。

そんな中で私たちは常にイノベーションという言葉を使って、人々の生活を変えようとしている。その変わった先にあるのは、便利になったという明るい話の反面、その裏でたくさんのものを失うこととなる。

それでも私はやらなければならないというか、やりたいのだろう。主人公が空へ抱いていた希望のように、私も私が作ったサービスでたくさんの人に影響を与えたいと思っている。それこそが彼が空に描いていたロマンのように、インターネットが存在するのだから。

"生きて"。風立ちぬで最後に放たれる言葉だ。色々な矛盾と戦いながら、私たちはこれからも生きていかねばならない。