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個人開発に関するテックブログ

「スタートアップが必ず陥る9つのジレンマ」を読んで

こんな本があったので読んでみた。

今まさに自分は「選択」をしてどんな会社にしていきたいかを考えなければならない時期である。その上で、本書は決めなければならない点について参考になった。特に資金調達周りの知識が疎かった自分には役立った。


要所まとめ

創業メンバーの相性リスク

  • 何を望み、何を叶えたいのか?
  • 何をするのが好きか。何をするのが嫌いか。
  • 最大の強みと弱みは何か。
  • 何が怖いか。リスクと感じているか。
  • 人を雇う?ファウンダーを加える?とするならどんな人?

始めにお互いの方向性を認識しておかないと、後で必ず対立が起きる。資金は得る必要があるのか、どんな仕事で企業価値を高めるのか、利益配分はどうするのかなどなど。まぁほっとんどはお金に関する揉め事だろう。そんなとき、「お金は基本的にこういう方向で使っていこう」という共通認識があれば、そういう局面になったときに予め冷静に対処できるようになる。

対立時の回避

  • 意見が対立したときにジャッジをしてくれる第三者の決定。

会社をコントロールしたいのか、富を得たいのか

  • 自分なりのやり方で仕事に取り組む自由、個人的な夢の実現といったコントロールか、経済的安定や大金持ちになりたいと言った富を築く動機か。
  • 「どちらを選ぶか」の壁が事ある毎に突き当たる。
  • コントロールをある程度捨て、富を目指すならVCを考慮。

富とコントロールの両方を得られる人は1%に過ぎないそうだ。孫さんや三木谷さんといった例はほんの少しの例外で、彼らのように目指すのは構わないが、富もコントロールも失うリスクがあることを肝に銘じるべき。

VC からの投資を受けるか

メリット

  • 投資額の大きさ
  • 外部からの信頼の向上
  • 今後の定期的な支援
  • 良き相談役
  • 外部リソースを得られる

デメリット

  • 莫大な投資額はIPOや高額なエグジットをしないとVCにほとんど利益を持っていかれ、自分たちの手元に残らない
  • コントロールされる。資金調達方法、CEO交代要求、エグジットのタイミング、業績氷菓
  • CEOが取締役会で仕事の大部分を奪われる。またその取締役会でこれからすることなどを毎回相手に説得させなければならない。- > 新しいチャレンジをする気がなくなる。本業がおろそかになる

日本でも一般的になりつつあるVCだが、やはり資金を得られるという魅力がある反面、コントロールを失うという欠点があるということに尽きる。創業経験間もない起業家なら様々なアドバイスを得られることはメリットになるだろう。連続起業家としてチャレンジする場合、いかに「コントロールされないか」を念頭において次からはチャレンジすることになるそうだ。「自己資金でスタートすべき」っていうポールグレアムの言葉はそこから来ているのだろう。

ただ、変化の激しい業界だと一歩で遅れると手遅れになる危険性があるので、早いうちにたくさんの資本で一気に広めていくという戦略を取るということも多いにあり得る選択肢だ。ただ、それでうまく行かなかった場合は悲惨な結果を招くので、いける!という見込みが余程無い限りはやめた方がいいと思ってる。

エクイティ(株式)の配分をどうするか

  • すぐに決めなくても、投資を受ける段階で決める
  • 価値はすぐに変化するので後で動的に変更できるようにした方が良い

最初からエクイティの分割割合を決めてしまうと、その後に多く所有している人が使えなかったり、病気でずっといられなくなってしまったときなどに不公平が生じ、それが各々のモチベーションダウンに繋がりかねない。投資を受けるなどの局面でこれらの分配を変えられるようにしたほうが保険的にはいい。一般的にはアイディア発案者、これまでの貢献、これからの貢献などで配分を決める。

働き方

  • オフィスを構えるか
  • リモートワークを推奨するか

強いチームはオフィスを捨てる37シグナルズが考える「働き方革命」-【電子書籍】にあるように、世界的にリモートワークで世界中からメンバーを集める手法が話題になりつつある。自分はこれに賛同しているのだが、タイトルにあるように「強いチーム」じゃなきゃ逆効果になる。両者の利点、欠点を見極めつつ決定したい所。

役割

  • 誰が財務、事業開発、経営上の実務、機能のビジョン、エンジニアなどの責任者となるか (それぞれの分野の最終意思決定)

スタートアップの始めの頃は全てをこなせる「オールラウンダー」を集める。そのうち規模が大きくなってきて初めて専門スキルのあるプロフェッショナルを集めていく。最初は役職は大まかになってしまうが、それでも責任者として決めることに価値がある。

初期の人材獲得などでもVCは役に立つことがある。