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ベンチャーにおけるファイナンス その1

ベンチャー企業が成長していくには、どのようにして会社の資産を運用していくかというのがとても大事になってくる。それを知らないと、もし会社が成功しても自分に利益が入らなくなったり、会社が乗っ取られて自分が会社を辞めさせられたり、会社を乗っ取られたり、とにかく何でもありな感じになってしまう。それを防ぐ為には自分の会社としての強みを持つだけでなく、ファイナンスの知識がマストとなっている。

今回は成長を目指すベンチャーにおいて大事なことを本を読んだ上で、まとめてみた。

経営戦略

経営戦略を実行する上でのいくつかのキーワード

参入障壁を築く

自分たちのやっていることが相手にすぐ真似されるようだと自分たちの市場をうまく取ることができない。何かしら相手に取って入りにくいものを用意しておく必要がある。 特許や各種免許、特殊な技術、市場を埋める圧倒的ユーザ数など

アタッカーズ・アドバンテージ

後から入ってくる競合は、先駆者の改善点を活かしたサービスを作ってくる。そのため、作ったものはいいものであったりすることが多い。 ネットスケープ -> IE -> Chrome のように。そのためにも前者に書いたような参入障壁を築くことが大事。

SWOT 分析

強み Strength, 弱み Weakness, 独自性 Originality, 脅威 Threat の4つをしっかりと認識する。

機会コスト

そのことをしたことで得られるであろうコストのこと。会社をやめて起業した人は、利益が出るまで以前の職場に勤めていたときにもらえた給与という機会コストがある。戦略を決める際に考慮する。

フレーミング効果

自分の都合の悪い情報から目を背け、都合のいいよりリスクの高いものに目を向けてしまうこと。株の塩漬けなどは典型例。冷静な判断が求められる

アンカリング

二重価格のように、〜%引きという文言だけで、原価のことを考えずに購入を判断してしまうこと。

株式会社

株式会社の構成

株主総会で株主が取締役を決定 -> そのメンバーで取締役会を開く -> そこで具体的な経営判断を下す -> 決まった内容を執行役員が実施する。

が、多くの会社はこの取締役がその会社の従業員で構成されているパターンが多く、結局社長の言いなりな取締役会で構成されている場合が多かったりする。そのための外部取締役の重要性。後のコーポレートガバナンスで詳しく。

(借金) デットファイナンス

お金を借りた場合、利子とともにその金額を返さなければならない義務がある。 銀行とか公的融資などがあるが、ベンチャー企業はこういうのでなかなか融資してもらえないのが現状。

返せなかった場合・・・ - 個人保証 ・・ 代表者のモノを出す(差し押さえ) - 連帯保証 ・・ 会社と社長が保証人となる。 - 根保証 ・・ 一回判子を押したら借り入れの2回目以降もその保証人になってしまう決まり

その他の借り入れ

社債 ・・個人に発行。これを会社が返せないとデフォルトが生じる。投資家にとってどこの社債を買えば安全なのかがわかるよう、機関が各社債を格付けしている。

転換社債・・社債ではあるが、株に換えることができる。新株予約権社債と呼ぶ。

(株式) エクイティファイナンス

VC(ベンチャーキャピタル)周りの用語

プロパー投資 ・・ VCの自己資金で運用 ファンドからの投資・・ 投資家からお金を集めて、VCが運用

  • キャピタルコール・・投資先の各ステージに応じて投資額を分割して払い込むときに、後から分割の資金を振り込むようファンドから連絡すること

  • セイムボート出資・・ VCが一緒に資金ファンドに入れる出資

  • デューデリジェンス(デューデリ)・・投資先候補企業の精査。その企業の市場規模、成長性、競合の状況を踏めたビジネスモデルであるか、資本制作、資金使途、経営チームの人柄や信頼度などで判断。

投資することが決定すると・・・

  • 投資契約。新株の発行と引き受けについての合意、振込手続きの条件、投資先企業に寄る重要な事実の表明と保証金についての取り決め

  • 株主間契約。他の特定の株主(社長)との間で経営方針や役員の派遣、今後の新株発行や売却についての取り決め

ここの契約内容に注意。創業者がこれをやってはいけないなどといったきつい縛りや、何年以内にイグジットしなければ創業者が買い戻すといったような内容がないかをチェック。

VCの資金回収

IPOM&Aによる保有株式の売却益。

IPOしてもロックアップという縛りがある。IPOに先立ち、VCや事業株主が株式を公開した後に一定期間、市場で持ち株を売却することはできないという決まり。

IPOに至らなかった場合

  • 投資先企業あるいは経営者による買い戻し(Buy Back)
  • 他の株主への売却
  • 第三者へ売却

リビングデッドになりうる・・公開の見込みがなくなり、セカンダリ市場でも取引が困難になっている株式

保有株式について

  • ダイリューション(希薄化)・・株をたくさん発行することで株主の持っている保有株式の割合が減っていくこと

ダイリューションを食い止める為には、資金調達のタイミングで

  • 常に自らも出資に応じていく・・現在の株主にもう1回同じ比率でお金を出してもらうことで保有比率を均一化する
  • 株価の評価を上げていく・・現在の株主以外に発行する。その際には特別決議事項のため取締役会で決定が必要。

ex) 1株1万円で社長一人が100株所有、資産100万円の会社。1株4万円で25株を新規発行する。-> 100万円の出資

社長:125 株のうち、100株を所有。 80%
投資家:125株のうち、25株を所有。 20%

それでいて資産は200万円に上昇。株の保有割合が最も大事!。会社のメンバーで半数以上を占めないと、取締役会で他の主要株主に経営をコントロールされてしまう恐れがある。

適正な株価の決め方は当事者が話し合って決める。株価は新たな資金調達のために株式を発行するときに重要になる。株価を高く発行すれば、ダイリューションが小さくなる。投資家としては高く発行されると投資の割にリターンが少ないといった事態になる。これは会社と出資側とのせめぎ合い。

資本政策

株価を上げることで資本の調整をはかり、誰の株が将来何%になるのかを計画しながら資本・株主構成を調整していくこと。これをやらないとヤバい!一般的にはIPO時に創業メンバーで3分の2、最悪でも過半数の状態で公開するように計画する

どうやって決めていくか?・・時価総額(株数 * 株価)とその成長度。成長度を証明する為の事業計画。

株主は一度株主になったら、相手が「いいよ」と言うまで2度と出て行くことは無いので、信頼の置ける人に入ってもらおう

バイアウト

経営者が一気に株主から株を買い集めると言う逆の資本プロセス

  • 上場コストの削減を目的に非上場を狙う
  • 事業悪化に伴う、株主に損害を与えないようにするため
  • 安く放置されていて、買収されるおそれがあるため
  • 割安なので買ってしまった方がお得なため

MBO ・・ 経営陣が株式を集め、会社の所有者になること

参考文献

次回

コーポレートガバナンス、上場、そしてイグジット戦略。