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500 startups のピッチイベント "DEMO Day"

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500 startups とは

スタートアップを支援するアクセラレータプログラム。有望なスタートアップが自社の株の数%を500 startupsに渡すことで、4ヶ月間の支援金、あらゆるジャンルのアドバイザー、そして4ヶ月後のDEMO DAY と呼ばれるピッチイベントの出場権などが得られる。この4ヶ月の間、複数のスタートアップが一つの屋根の下で実際にプロダクトを開発し、最後のDEMO DAYで次のラウンドの投資家の前でピッチをする。有望なベンチャーはそこでさらに資金調達し、ビジネスを回していくことができる、といった感じだ。最終的にイグジットすることで、その株がお金に変わり500 starupに譲渡した株数*株価ぶんだけキャピタルゲインとして500 startupの手元にいくという仕組みだ。

日本でもdocomo39 works といったシード期からサポートするアクセラレータプログラムが出だしてるので興味のある方はエントリーしてみるといいだろう。

ピッチイベントの参加

今回は特別に500 startupsのDEMO DAYと言われるイベントにゲストとして参加させていただいた。実に28ものスタートアップが限られた時間の中で自分たちのプロダクトがいかに優れているかをアピールし合う。観客である投資家は興味のあるスタートアップがあればそのあとの懇親会で詳細を話し合うことができる。

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そのピッチの中で印象に残るスタートアップのピッチにおいて共通することがあった。それは、 具体的な数字を出す ということだ。もっとも単純なのはユーザー数。これが今どのくらいのペースで増えているのかをアピールする。他にも収益や売り上げ、取引回数などそのプロダクトにおいて特徴的な数値をピッチ内で表現している。投資家の立場になってみればそれはわかりやすい。これから出資しようとしている企業に対し、ただでさえうまくいくかわからないスタートアップに対しアイディアだけ語られてもリスクが高すぎる。急成長中だけど株価の低い(小規模)スタートアップに対して出資できるかが鍵となる。

一部のDEMO Dayに参加した企業で、そのような数字が出せないところもあった。その時はいかに自分たちのプロダクトに革新性があるかを趣向を凝らして説明していた。ただそれでも数字が出せない会社のピッチはいいとは思えなかった。

ここで28のスタートアップのうち、きになった企業の紹介と理由をいくつか挙げてみよう。

Cloud Academy

近年、AWSなどのクラウドのインフラストラクチャが主要になりつつある中、アカデミックな分野ではそのようなIaaSの使い方を学ぶ場所がなく、実際にエンジニア不足に陥っていることが問題。 そのためにウェブ上でAWSなどの実務で使えるインフラストラクチャの学習ができるサイトを提供。

Connected2me

匿名メッセージングサービスのようだ。何より印象的だったのはそのユーザース伸び。これはどんなクールなコンセプトやデザインよりも説得力のある材料だった。実際このサービスのピッチの時はかなり盛り上がった。数字!

PAYKIND

ケニアの起業家ということでそれだけで印象に残るピッチだった。アフリカで例えばお金を寄付した時、その金額は腐敗や輸送、セキュリティなどでその大半が削られ、実際に本当に困っている人たちに手に届くのは実際の数パーセントしか届かないという問題を言及。 PAYKINDはこの途中に挟まる要素を一切排除し、本当に欲しい人にお金が届く仕組みを提供しようとしている。

これはユーザー数よりもコンセプトが立派だ。彼にしかない経験や解決したい問題がとてもビジョンのあるもので、強い意志が感じられるからだ。このプレゼンで実際の流通額などは出てなかった気がするが、そのあとのミートアップではかなりの人気者だった。自分が投資家だったらここに投資すると思う。

全体として

まず意外だったのが最近はやりのIoTスタートアップが1件もなかった。どうやら500startupsはIoTに関しては受け入れていないようだ。まぁただでさえ初期コストがかかる上、一気に広まる要素が低く、バイラル的に普及することも困難だと成功がかなり難しいからだろう。かなり大きなビジョンでその起業家に相当な体験から来たモチベーションがない限り難しそうだ。

アイディア勝負でユーザー数を実際に稼いでいる企業、アイディア勝負で魅力的なピッチに懸ける企業、最新テクノロジーを駆使した企業の3つに分かれている気がする。この中ではやはり実際にユーザー数を稼いでいる企業が魅力的に見えた。