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キッチハイク は「つながり」だ

ども、@kimihom です。

個人的に仲良くしている キッチハイク さんが本を出したとのことで読んだ感想を書く。

キッチハイク! 突撃! 世界の晩ごはん

kitchhike

この本を通じて私が特に知りたかったのは、「なぜ料理を提供してくれる人は、見ず知らずの人に料理を提供するのか」という観点だった。本書を通じて、その答えがなんとなくわかった気がした。

人はつながりを求める

本書は様々な国に訪問して現地の食事を食べ回ったバイタリティあふれる著者による、人の出会いや生活をまとめた記録だ。波乱万丈の旅の記録を時に面白く綴られていた。

その中で、料理を提供した方のいくつかの言葉が私には印象に残った。

  • 「またいつでも食べに来ていいからね」
  • 「数日でも共に暮らすと家族のように思えるんだ。今では世界中に家族がいるようなものだ」

これらの言葉こそ、無償で料理を提供する方の根底の思いなのではないかと感じた。料理を提供する方々は旅する者に喜んでご飯を提供し、会話を通じて世界のことを知ったり自国のことを知ってもらったりする。それぞれの国の文化を知るためには、その国の料理を食べることが一番わかりやすい。だからこそ、世界中の家庭料理を食べ歩くこの旅は有意義になったのだと思った。そうして料理を提供する方は “つながり"を得ている。本書に書かれた各国の物語は読んでいて心温まるものだった。今の日本ではちょっと忘れかけているような温かい気持ちだ。

本書の最後に、著者も「食卓を囲む行為は、人がつながり、絆を深める行為」であると述べている。まさにこの考えこそがキッチハイクの根幹ではないかと感じた。実際、私もキッチハイクを何度か利用し、知らない人と食卓を囲む機会を体験した。食を通じた会話は男女関係なく楽しめるし、何より美味しい料理を通じた会話は温かい気持ちになる。人の交流と食の関係は、どんな時でも相性がいいものなのかもしれない。

さて、海外ではホストファミリー的な感じで色々な人を家に迎えて食事を振舞うことで “つながり” を得ている。では今の私たちはどうなのか。そのことについてちょっと考えてみた。

現代のつながり

“人と繋がっている” って感覚は幸福を得るための一つの手段だ。

んで、この点をうまく実現した Facebook というサービスがある。人とのつながりを明確に可視化して、何か投稿をすると いいね! をもらえる。いいね!をもらえた瞬間に、人と繋がっている擬似的な感覚を得ることができる。これ自体は日本だけでなく世界中で同様に Facebook によって繋がりを得ることができているというのがまず現代の一つ大きな特徴としてあるように思う。否 そもそも、インターネットそのものが “繋がる” を満たした総合体のようなものだ。Facebook だけでなく 2ch やオンラインゲームが流行りだして、別に外に出なくても人は繋がりを得ることができた。だからこそたくさんの人が家に篭り始めてしまったのだと私は思う。今後も発達したビデオ通話や音声通話によって会わなくても会ったという感覚、繋がりを得やすくなることだろう。そうしてインターネットが人とのつながりを"広めて"いる。しかし、インターネットは人とのつながりを"深める"ことができているのだろうか?

ここでつながりを深めるには"実際に一緒に何かを体験する"ことが重要になるのではないかという仮説が浮かび上がってくる。そしてその一つの手段として一緒に料理を食べるのは良い方法だ。それなりにお値段のする飲み屋がそこら中にはあるのはその証拠だ。より深い体験のために週末に BBQ をみんなでしたがるのも同様の理由だろう。

私は新たなつながりを深める方法の一つとして キッチハイク というサービスに注目しているし応援している。

キッチハイク社について思うこと

正直、私は最初はキッチハイク社については「流行りのシェアリングエコノミーの乗っかった企業の一つ」くらいにしか思っていなかった。実際、登場したタイミングもネット業界で Airbnb が流行りだした時期と重なるから、案外この分野の人々は同じようなことを思っている方が多いかもしれない。

しかし、実際に創業者の人と会ってサービスに対する思いを聞いた時、その思いは一変した。キッチハイクは、近年の企業で稀に見る “理念ベース” の企業だ。会社として実現したい未来があってその思いを社員全員が共有している。特に創業者の2人の思いの強さは尊敬に値するほどだ。本書を読めば、著者の思いの強さのベースとなった体験について理解することができるだろう。

終わりに

キッチハイクはつながりだ。これはあくまで私の感想に過ぎないけど、緩くなりがちだった現代の"つながり"をより強めるための一つの方法だと思う。今後、キッチハイクが Facebook 以上の人との深いつながりを実現するサービスになることを期待したい。