ボクココ

サービス開発を成功させるまでの歩み

アプリの個人開発の終焉と新たな可能性

ども、@kimihom です。

今回は私が今まで開発して来た個人開発と、そこで学んだ次の可能性について記していく。

個人で開発したアプリで食っていく

今でもちょくちょく個人開発をしている方をよく見かける。安定した仕事に勤めていた頃、私もその個人開発者のうちの一人だった。週末や空き時間があれば、ひたすらスマホアプリを開発し、私が作ったアプリの合計は十数個にのぼる。最初はゴミみたいなアプリを量産してたわけだけど、経験を積むにつれていいアプリを作る感覚を持てるようになって、1つだけ当たったアプリ(個人開発で15万DL 超えのアプリ)を作ることができた。この"当たるアプリを作る感覚"ってのは、アプリのアイディアそのものであったり、開発だけでないデザインやストアに掲載する文言やSEO、シェアされる仕組み、その他運用テクニックなど多様なものだ。

個人開発を可能にした背景に、スマートフォンアプリの流行があると考えている。スマホが出たての当時は、小さな画面に入れるシンプルな機能とデザインを埋め込めば、それ以外に必要なサービス開発の要素(後述)を全部満たしたものを世に提供することができた。だから、今でも個人開発で何か当てたいって考えならスマホアプリを作ることに集中することが大事なんじゃないかと思う。

当然その他の方法で例外として成功した個人開発はあると思うけど、以下は私が経験した中での意見として読んでほしい。

私はスマホアプリ開発をしばらくして、個人開発の限界を感じるようになって来た。一人でそれなりにダウンロードされるアプリを作ることはできたけど、その先のマネタイズが激しく困難なのだ。15万DL されたアプリでどうやってマネタイズするかっていったら、大抵は Freemium として追加購入できる何かを用意したり、広告収入を得るといった形が必要になる。

ゲームのような他人と激しく比較して勝ちたい的な欲を与えない限り、無料アプリで追加購入を積極的にやってくれる理想のユーザーを獲得することは本当に難しい。私自身、何か無料アプリで、追加でわざわざお金払ってまで使いたいアプリなんて今まで0に近いレベルで存在しない。てなるとほとんどの場合は、広告収入で稼ぐという流れになるだろう。そしてこの広告収入は、程度によるけど成功の中でもさらに成功した部類(最低でも100万DL以上)の大ヒットアプリを生み出してようやく一人分が食べていける程度の収入になる。これを個人開発でどうやって実現するか。よほどの才能や努力ができないと難しいだろう。

「副業(個人開発)がうまくいったら、メインの仕事を辞めてそっちに集中しよう」って考えの方は多いかもしれないけど、先述の理由でそれがやってくる日はほぼない。「スマホアプリ」という枠に限定したおかげで、個人開発のハードルはめちゃめちゃ下がったけど、その分決められた枠の中でユーザーの取り合いとなっている。そして今、それが飽和状態になりスマホユーザー自体も新しいアプリをなかなか入れてくれないくらい使い慣れてしまっている現状がある。

個人開発のその先へ

スマホアプリはサービス開発に必要な要素を個人開発者が手を抜いて提供できる環境がある。具体的には以下のようなものだ。

  • ユーザー獲得。ストア内で検索すれば勝手に出てくる
  • 利用規約や特商法周りの手続き。アプリがよほど大成功しない限り、ほぼ必要ない
  • デザイン。アイコンと中の小さなUIさえ考えればいい
  • 手軽な決済手段。全部プラットフォーム側で提供してくれる

この手軽さゆえに個人開発したアプリでも、ユーザーは気軽にアプリを DL してくれる。しかし、"お金を払ってでも使いたい" とはほとんどの場合ならないのは先述した通りである。

一般的なスマホアプリが飽和状態になりつつある今、私は SaaS(Software as a Service) の世界に可能性を感じている。 これこそ、私にとっての個人開発のその先の世界である。

SaaS には、個人でアプリ作ってたのとは違って、一人でやるにはたくさんの障壁がある。

  • どうやって初期ユーザーを獲得するか。(基本的には紹介や知人ずて)
  • 利用規約や特商法、プライバシーポリシー。法律や税金、会計周りの運用
  • 本機能やLP のデザインをどう決めるか。
  • サポートの重要性。開発しながらどうやって継続利用に必須な顧客満足を高めるか。
  • 利用ユーザーの声をどうやって集めるか。
  • 収益管理。Store にあったような手頃な決済手続きは存在しない。
  • SaaS 提供社として個人ではなく、企業として立ち上げる必要がある。

基本はスマホアプリでやってくれたことを自分たちでやる必要が出てくるって話なんだけど、これら全部を個人開発でやっていくのは、はっきり言って無理だ。いや、正確に言えば最初の一歩くらいならできるかもしれないが、それら全ての改善の継続を一人で続けるのは無理である。開発好きなあなたが、アイコンやUIを改善し続けることができるか。顧客の声をダイレクトに聞き続けることができるか。初期ユーザー獲得のために積極的に行動できるか。それなりにできるかもしれないが、きっとあなたが得意なことではないはずだ。

だからこそ少人数のチームを組んで SaaS を提供するってのは、かつての個人開発でスマホアプリを量産していた頃の次の開発フェーズだと思っている。今やこぞって企業が SaaS で起業して資金調達を受けているけど、私からすれば起業というよりは個人開発の発展系に過ぎないと思っている。無理して資金調達せずとも、能力を持った少人数のチームで SaaS を生み出すことが可能である。

そしてうまく SaaS を軌道に乗せれば、個人でアプリ開発してた頃よりも大きな収入を見込める。100万DLで一人が食っていけるレベルだったのに比べて、こちらは数十社が契約して使い続けてくれるだけで一人が食っていける。もちろん企業にとってその SaaS が価値あるものでない限りその領域には到達できないけど、100万人が欲しい! と思ってたスマホアプリを作るよりかは、 数十社が欲しい! と思う SaaS を提供する方が難易度は低い。

"SaaS を少人数で提供すること"が私の考える、個人開発の次の可能性だ。それに気づき素早く行動できた企業だけが、 SaaS の潮流に乗って顧客を増やし、SaaS をさらに改善していくことで好循環を生み出している。既に成功した SaaS 領域はたくさんあるけど、例え成功した企業のある事業領域に飛び込んだとしても、ターゲットを変えれば新しく使ってくれる企業を見つけることができる。だから読者がもし始める場合は SaaS で作るネタがないと嘆くのではなく、誰の課題を解決するかってところに専念してほしいなと思う。

終わりに

今回は私の個人開発の経験と、そこから学んだその先の可能性、つまり少人数で SaaS を運営することの可能性について書いた。

一人で開発してた頃には問題が出なかった、会社を作るハードルと、最初の能力を持ったメンバーをどうやって集めんのって問題が出てくる。このハードルをクリアし、協力して SaaS を運営できれば、個人開発であなたが目指していた夢の実現に一歩近づけるのかもしれない。

少なくとも私はそうやって今、個人開発の頃に描いていた夢(自分の作ったサービスで食っていく)を実現できた。そして今はその次の夢に向かって突き進んでいる最中である。

サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方

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