ボクココ

サービス開発を成功させるまでの歩み

Subscription Marketing を読んで感じた新しい顧客との関わり方

ども、@kimihom です。

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今回は以下の本を読み終えたので、読書感想文を書こうと思う。

Subscription Marketing: Strategies for Nurturing Customers in a World of Churn

Subscription Marketing: Strategies for Nurturing Customers in a World of Churn

Subscription Marketing: Strategies for Nurturing Customers in a World of Churn

ちなみに日本語もあるので、英語が不得意な方はこちら。日本語になった時の「モノが売れない時代の顧客との関わり」っていうサブタイトルが中身とマッチしてないと思うんだが。これも日本流マーケティングってことなのかな。。

サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方

サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方

サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方

マーケティングは新規顧客獲得のためだけの部署ではない

SaaS 界隈では当たり前のように言われるようになってきたけど、大事なのは新規顧客獲得より既存顧客の維持(Customer Retention)である。SaaS の世界では顧客獲得(サービス利用)を始めただけでは意味がなく、顧客がサービスを使い続けることによって初めて価値を提供し利益を生み出すことができる。今まで"マーケティング"といえば、いかに目立って見込み顧客を獲得するかってところにフォーカスしていたかと思う。でも Subscription Marketing の世界ではそれらは二の次である。CM や雑誌広告に載せる企画を考えたりするみたいな旧来の新規獲得のためのマーケティング手法は Subscription Marketing の世界では優先度が低いのである。

既存顧客がもっと使い続けていきたいと思っていただけるようにすること。これは今まではカスタマーサポート等で対応してきたかもしれないが、これからは全ての部署が連携して顧客に対しての関わり方を真剣に考えなければならない。今では "カスタマーサクセス" って言葉も一般的になり始めたけど、まさに顧客のことを把握して分析し、そこから行動する顧客ファーストの視点が重要になってきている。

また、本書では無料トライアル期間での顧客との関わりについて重点が割かれていた。初めて無料トライアルを使い始めてくれた時のサービスに対する印象は今後のサービス利用に大きく関わってくる。なので最初の時点でいかにユーザーが躓かないで、快適にサービスを使い始めてくれるかに注力するのもマーケティングの重要な仕事の一つである。

Subscription Marketing の世界では、新規顧客獲得数が数値目標になることはない。いかに正しい顧客に刺さったプロモーションをし、正しく教育し、流れに乗せることができたか。総合的な視点でマーケティングを評価しなければならない。

どうやって顧客と関わっていくか

そのための方法として象徴的だったのは、動画を使ったウェビナーによる教育だった。日本ではまだほとんどの SaaS が行なっていない取り組みだ。FAQ 等を整備することはもちろんなんだけど、顧客にサービスの価値を知ってもらって使い続け、さらにそのサービスを紹介したくなるくらいにまで満足してもらうには、やはり顧客との接点を増やし、サービスの新たな価値を知ってもらう努力をしなければならない。

従来のマーケティングでは、この顧客育成の視点が決定的に抜けているように思う。とりわけ従来の作って終わりな製品の場合、説明書に載っていることが全てでわからなければサポートに問い合わせというケースで対応していたことだろう。しかし、時代は進んで SaaS のような常に進化を続けるサービスの場合、説明書は進化を続けていく。顧客は毎回アップデートされる説明書のある商品を使い続けていくのである。それは当然面倒で手間のかかることだから、いかに手軽に新しいことを知ってもらえるかっていうところにマーケティングは力を注ぐべきだろう。

そしてサービスの価値を真に理解したロイヤルカスタマーが、サービスをアップグレードしてくれ、新しいお客さんを紹介してくれるようになる。SaaS はそのような状態になって初めて利益を得ることができる。

カスタマーサクセスと密に連携する

マーケティングがメインテーマの本書でも、カスタマーサクセスについての説明が多くあった。顧客を分析してニーズを導き出すカスタマーサクセスと、顧客獲得し育成していくマーケティングとでは深い情報の連携がマストだ。

カスタマーサクセスの部署を設けていない場合は、兼務でもいいからまずは考え方から導入し始めるべきかもしれない。カスタマーサクセスに関しては以下の書籍が数少ない日本語文献としてある。

カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

  • 作者: ニック・メータ,ダン・スタインマン,リンカーン・マーフィー,バーチャレクス・コンサルティング
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2018/06/06
  • メディア: 単行本
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この本も英語から翻訳されたものなので、原本を読みたい場合は以下である。

Customer Success: How Innovative Companies Are Reducing Churn and Growing Recurring Revenue

Customer Success: How Innovative Companies Are Reducing Churn and Growing Recurring Revenue

終わりに

まだ日本で SaaS やサブスクリプション型のビジネス自体が普及していないことを考えると、Subscription Marketing の考え方が普及するのには時間がかかるかもしれない。

早いうちから顧客育成に力を入れてより良い関係づくりに取り組んだ企業が、愛されるサービスとして成長し残り続けることだろう。

この記事を見つけて読んだ方は、それができるポテンシャルを秘めている。マーケティングに対する意識を変え、新しいビジネスの時代を作り出していこう。