ども、@kimihom です。
今回は SaaS 規約ナイトっていう利用規約周りの話をするレアなイベントがあったのでエンジニア枠で参加してみた。ざっとメモと参加した感想を記す。
参加メモ
利用規約とは
- サービス提供者とユーザーの決め事
- ユーザーがやっていい、やっちゃいけないこと
- サービス提供者側で保証していること
規約更新
規約を変える時にどうするか。ユーザー通知のタイミング。SaaS は買って終わりではなく関係の始まり。これから毎月支払っていただくスタイルであるため、契約の更新や解約に関する記述が大事になる。
価格改定
消費税増税や改正民法の定型約款なども考慮。規約に料金表を入れずに、LPに料金を別途表示する方法が一般的か。ただ顧客ごとにカスタマイズのプランを提供して料金が違うような形になると、料金変更の際に個別の合意が必要になってくる。 今後、SaaS が普及するにつれて料金アップは避けられない。ただ実際は料金の値上げでトラブルになることはそんなにない?。どう料金アップするかも考慮して規約を決める。
「更新値上げ」がトレンドになりそう。1年で自動更新、更新期間についてたんか7%までは値上げする可能性ありと事前に伝える。もし7%を超える値上げが発生する場合は、60日前までに通知する規約にする。その期間で別サービスを検討するなどの期間を与える。
規約内容の変更
ユーザーに影響を与える変更の場合はちゃんと通知する。 文法とか分かりやすい文にする修正は適宜更新。それだけで通知..? それよりもちゃんと差分をユーザーが気軽に見れるようにすることの方が大切。
障害の時の責任範囲
SLA を設置するかどうか。障害が保証した期間以上に伸びた場合の返金対応とその上限。ずっと開発を続ける SaaS にはトラブルがつきもの。SaaS の中でも頻繁な更新をして多少トラブルを多めに見れる SaaS と、遅くなってもいいからとにかく安定性が必要な SaaS など種類がある。
データの取り扱い
入力データに対してアクセスしない、GDPR のような制度はそのうち日本にも来るだろう。 データは自社の DB に保存だけとは限らない。他サービスとの連携ではどう扱うのか。連携においてどの情報をどのように利用するのか。
顧客との関係
BtoBtoC を考える。その SaaS の顧客は1社だけだとしても、その1社が1万ユーザーを対象にその SaaS を使うことも当然ある。その時に BtoB だけの規約の対応だけで本当にいいのだろうか。
エンジニアとしての感想
スタートアップとかだと、こういう法律はひとまず脇に置いておいて「今までにないサービスなので法律はこれから制定していく必要がある」みたいな Airbnb の人みたいな発言をして乗り切っていくわけだけども、それなりに多くの顧客を抱えてくると当然そういうわけにはいかなくなる。
じゃあエンジニアが全部把握しなきゃいけないのって言ったら、それは当然無理なことだ。でも、とりわけ障害やデータの取り扱いとかはエンジニアしか把握できないものも多く、これらは早いうちからしっかりと設計レビューしてもらう環境が大事になってくるだろう。そうしないと、いつぞやの顧客情報流出トラブルとかが発生して今までの努力がパーになってしまうからね。
「エンタープライズプラン」ってのを設けると、規約や価格改定の時にそれぞれ個別の同意が必要になるってところが、確かにって思った。やはり SaaS が成長してくるとエンタープライズ向けに SaaS を売りたくなってきて、そのエンプラ特有の要望とかカスタマイズを受け入れてでも顧客にしたくなってくる。SaaS の場合はそれで対応して導入してくれれば終わりじゃないってのは先述の通りだ。
「利用規約なんてそもそも読まない」って人が大半なのは間違いない。だからこそ、「利用規約を誰でもアクセスできるように公開する」ってのが大事って視点も面白かった。99% 読んでなくても、うち1%の人がちゃんと読んでおかしな部分があれば誰でもブログで簡単に報告できる時代だからだ。これで炎上した SaaS があることも身に覚えがある。
規約は長けりゃいいってもんじゃない。ちゃんと読んでユーザーと運営のお互いが把握して問題なく使い続けてもらうために大切なので、1万字以内に収める努力はしたほうがいいとのことだった。わざと分かりづらくしてる利用規約とかがダメなのは当然のことだ。
終わりに
普段こういうミートアップは技術的なものばっかりだったけど、今回のは新しい視点が得られたって意味で参加してよかったと思う。自分の SaaS もお陰様で多くの方に利用されるようになったので、引き続き安心と安定を提供できるように意識を深めていきたい。
顧客とより良い関係になるにはどうしたら良いのか? これが私の次の大きなテーマである。

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