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SaaS Conference 参加メモと感想

ども、@kimihom です。

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昨日、All Star SaaS Conference Tokyo 2019 に参加して話を聞いてきたので、その内容と個人的な感想を記そう。記事を書くまでがカンファレンスだからね。

エンタープライズ SaaS

今回の話のメインは エンタープライズ(大企業)に SaaS をどうやって使ってもらえるようにするかという点だったように思う。企業規模が大きければ大きいほど導入してもらうのには時間がかかるし多くの必須要件を頂くけども、一社のエンタープライズ企業の契約で 中小企業の何十・何百社分の価値(利益)を生み出す魅力がある。そして SaaS における一番の防ぐべきチャーン(退会率)も企業が大きければ大きいほど低い傾向にある(良いサービスを提供し続けるのが大前提ではある)。

エンタープライズの獲得は、アーリーアダプターな初期ユーザー獲得とは全く別の努力が必要になる。一般的なマーケティング(メディア、広告、展示会etc) で知ってもらったらさっと導入してもらえるものではない。時間をかけて企業にとって自社のSaaSが "なぜ今" 必要なのかを明示的に記す必要がある。そのためには、その企業の今そして未来の目指す方向を始めとした企業情報の全てを把握する必要があって、その情報を元に1~3年レベルで説得し続ける努力が必要になる。エンタープライズ企業の中で、誰が最終的な決定権を持つのかを把握し、説得を続けなければならない。合間で担当者がコロコロ変わって同じことばっかり言ってるような営業では当然導入までは行かないだろう。

エンタープライズ企業の導入には、社内に The 営業 の存在がマストになる。社内で見込み企業ごとに専任の担当者を設けて、1~3年スパンで契約にむけた行動をし続けていくことになる。とても大変なことだ。だが、エンタープライズ企業が自社の SaaS を導入してくれるのは、それをやるだけの価値があることになるのは前述の通りだ。

今回の SaaS Conference のテーマは「ARRゼロから100億円まで、SaaSスタートアップの成長」だ。ARR 100億円を目指すのなら、中小企業のみをターゲットにするだけでは到達不可な領域であると言えよう。だからこそ、ユニコーン SaaS を目指すのであれば誰もが エンタープライズを最終的にターゲットとして持っていく必要がある。

一応補足しておくと、サービス・会社をARR 100億(ユニコーン)化させるのが全企業のゴールではないはずだ。少人数でよりターゲットを絞って、大企業ではなく中小企業に価値を提供し続け、急成長ではなく地道な成長を選ぶ企業がいても全く問題ない。実際、私はそちらのタイプである。両者はそれぞれで違う努力が必要であるということを改めて感じることができた。

急成長のために必要なのは数字か、思いか

SaaS がそれなりに成長すると、数字ばっかり見るようになる。MRR, ARR, ChurnRate, CAC, LTV... 毎日そんな数字のにらめっこ。そして少しでも悪い傾向が出てきたら原因を調べて直していく。

「SaaS がでかくなればなるほど、経営がアートからサイエンスに変わる」と話されていた。最初は熱いビジョンを持って仕事に精を出していたのが、いつの間にかロジカルに数字だけを見て判断するようになる。でも、SaaS が大きくなったら本当に数字だけ見てれば良いの?ってのは改めて考える必要があるだろう。 一番はサービスを使っていただいている顧客だ。このベースはいつまでも忘れずに運営していきたいところである。

最近、SaaS 界隈で “Repeatable”, “Predictable” って言葉ばかり聞く気がする。確実に使ってくれる顧客ターゲットを見つけることの大事さだ。そのために、自社の SaaS がどんな企業にとって最適なサービスなのかを定義し、その理想の顧客はどこにいて、どうやって営業していくのかという流れである。これを見つけることができた時から、急成長が始まるというわけだ。

確かに 自社の SaaS が確実にニーズのある企業・業界はどこかってのを見つけるのは難しい。最初自分たちが狙っていたターゲットとは実は別の企業形態・事業に刺さるってことも当然起こりうることだ。そして、前回の記事でも書いたけど "ニッチ" を極めることで、なくてはならない存在になれる。それが急成長の第一ステップとなる。そこまで尖る SaaS にならなければならない。これはどの SaaS でも共通で考えていかなければならないことなんだろうな。

終わりに

エンタープライズ SaaS。この分野は今後確実に増えていくし、それによって成功する企業も増えていくことだろう。SaaS Conference はそんな SaaS のトレンドや未来のことを考えられる機会となった。

去年より今年、今年より来年さらに SaaS は日本で増えていくことだろう。その中で自分たちの SaaS が他と違って何が良いのか。このこだわりを持ち続けたところだけが残り続けられる。ブレない気持ちを大切にしていきたい。