ども、@kimihom です。
私は日頃からサービス開発においては人数は少なければ少ないほど良いと述べている。それでもサービス開発には多くの場合、数名のチームを形成して作っていくことになるだろう。そのチーム間では強いチームワークが求められる訳だが、今回はそこに関しての持論を展開していく。
自社サービス運営の会社でも受託マインド?
唐突ではあるが、今のエンジニアの中で「言われたものを作る」ってマインドのエンジニアが多すぎることに課題を感じている。
こうした受託マインドのエンジニアは、自社サービスでもプロデューサーやプロジェクトオーナーが開発の方針を最終的に全部決めるから、自分は言われたことや仕様を忠実に開発することが仕事だと考えている。確かにそれで給料は出るし、チームとして何も問題がないように表面的には見えるけど、実は奥底で致命的な課題を抱えている。
言われたことを忠実に開発するだけなら、開発者があなたである必要が全くない。そして、言いたいことを言えないまま仕事をすることになるので、ベストな成果を出すことができなくなる。他の誰でもなく自分がチームの一員として開発していることを強めるには、チームへの理解と自分の意思でサービス開発することが重要だ。
- この機能は自分"でも|は"必要だと思うから、開発|改善する。
- この機能は自分が不要だと思うから、開発しない|削除する)。
自分の意思で仕事をすることで、エンジニアとしての市場価値も上がる。意見をしっかりと言えて改善できる意思のあるエンジニアがサービス開発には必要だ。時にはメンバーと摩擦が起こり、ケンカっぽくなることがあるかもしれない。でもそこを乗り越えない限り、強い開発チームになることはできないのだ。
チームにおける、いちメンバーとしての役割
もちろん、プロデューサーやプロジェクトオーナーが「俺の言うことを聞け」と高圧的に仕切るパターンもあるだろう。開発内容を決めることは彼らの仕事でもあるから、エンジニアに強要させることが多い。だが、その摩擦に妥協して意見を言わないって選択をしてはいけない。自分の考えを信じて徹底的に議論をしていこう。サービスに対する思いをプロデューサーやプロジェクトオーナーに知ってもらえれば、お互いがその後の仕事をより良いものにすることができるようになる。
大企業であればあるほど、自分の意思で開発することは難しい。あらゆる意思決定者がいる中で、自分の意見をメンバーに納得してもらって開発するには時間がいくらあっても足りなくなってしまう。そこでSNSのプロフィール欄では自分の考えを会社に反映できないから「投稿内容は私個人の意見であり、所属企業・部門見解を代表するものではありません。」とかいって責任を逃れるようになる。私があの責任逃れの文章で不快に思うのは、だったらわざわざ勤め先を書かなければいいだけのに、勤め先の会社名を堂々と乗っけてその会社にいるってことだけで見栄を張ろうとしているからだ。でもそういう環境だとしても適している場合があるにはある。そもそもエンジニアリングに対してのこだわりがなかったり、言われた通りのことをやるだけのエンジニアであれば、ある程度の安定した給料をもらえればそれでいいのかもしれない。
私としてはサービス開発の内容に妥協しないエンジニアがもっと増えていって欲しいと願っている。これはかつての私への自戒の念もこもっている。私自身、かつては企業に勤めて給料をもらっているごくごく一般的なエンジニアであったのだ。新卒で入った時には自分の意見を言い続けた尖った新入りだったものの、しばらくして「この会社で自分の意見を言っても、何も変わらない」ことを悟った時、給料をもらうことを優先して言われたことを開発するだけのエンジニアになってしまった。
しばらくして会社を辞めて起業してから、改めてメンバーに対して自分の意見を率直に言うようになった。そこでは当然メンバーとぶつかって何時間も討論することもあった。そんな状態でしばらく仕事を続けていると、次第に良いことが多く起こり始めた。「この人はこう考えている」ってのをメンバーそれぞれが理解するようになったので、その考えを踏まえた意見だとか準備ができるようになっていったのだ。自分の考えをメンバーに理解してもらったり、メンバーの意見に賛同できることは自分もその考えに心から賛同できるようになった。
私は、そんなメンバーの思いを奥底まで理解できている状態こそが、強いチームの条件だと考える。強いチームは、"何も言わなくてもわかる" 状態(チームワーク)になって次第に議論や意識統一が不要になっていく。
人がどんどん入れ替わったるする企業では、その度に人の考えを深くまで知ること必要があるが、それは当然のことながら難しい。採用でマッチする人を入れるって言っても、あくまで表面的な部分でしか測ることはできない。新しい人がどんどん入れ替わりで入ってくるような平均勤続年数が低い企業だと、私の定義する強いチームになることは永遠に不可能だ。また、自分の意見を言わずに我慢するようなタイプの人間がいるような全員YESマンな職場でも、同様に強いチームになることはできない。
リモートワークに対する批判は、そのような強いチームの状態になっていない状態でリモートワークをしちゃって「リモートワークはダメだ」と言っているに過ぎない。近年の会社形態として目立つ、人を一気に集めて一気にサービスを成長させるみたいな急成長マインドを持っている企業は、永遠に強いチームになることはできないのである。率直に意見を言い合って、時間をかけてお互いの考えを深く理解できているチームにだけ、オフィスを捨てられる状態になのである。

強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える「働き方革命」
- 作者: ジェイソン・フリード,デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン,高橋璃子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/01/24
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (7件) を見る
終わりに
今回は強いチーム形成に必要なマインドについて記した。強いチームになるためにはお互いのメンバーが心の底から思っていることを深く理解する必要がある。その状態になるためには、メンバー同士がいつでも思いを発せられるような環境と、異なる意見に対して納得いくまで時間をかけて議論をして認識を合わせなければならない。
徹底して議論し、メンバーの考えを心の底から共有できたチームになれば、もはやメンバーが近くにいて細々と確認する必要すらなくなっていく。
そんなチームで、あなたは仕事をしたいと思わないか?