ボクココ

サービス開発を成功させるまでの歩み

月額課金サービスをボクはこう設計した

ども、@kimihom です。

Stripe Meetup というのが渋谷の Tokyo Otaku Mode さんのオフィスで開催された。そこのイベントでサブスクリプション型サービスの設計について話をした。

speakerdeck.com

こちらの内容は、以下の記事の続編的な感じとしてご紹介した次第である。

www.bokukoko.info

以下は補足

プランのプライシングは慎重に

SaaS サービスをいくらで販売するか? 実際に事業を始める上で重要だけど決めることは難しい。見込み顧客に「いくらなら買いますか?」と聞いてみたところ思っていたよりも安めの金額を言われたり、今後のスケールを考えれば安くてもなんとかなると思って、金額を安めに設定しがちだ。だけども、多くの SaaS サービスは料金設定をミスって(なのかは定かではないが)、あとで値上げするという手段を取る傾向があるようだ。

値上げ自体は顧客の同意が得られるのであれば、どうしてもって場合には致し方ない対応かとは思う。でも、できる限りそうならないようにするためにはどうすればよいのだろうか?

私としては SaaS の料金は自信を持った価格設定にしていいと思っている。 ただ、これには条件がある。あなたの作ったサービスが本当に素晴らしいと自信を持って言えるプロダクトである場合にのみ有効だ。他から高すぎない?と言われた時にでも、ちゃんと理由が言える状態であるとも言えるかもしれない。

それで本当に高すぎたって話だったら、値下げはいくらでもできるのだから。

幸いにも私のプロダクトではローンチ後、一度も値上げをしていない。

追加料金を考慮する

単純に月額1,000円ぽっきりのサービスというケースは意外と少ない。例えばライセンスの追加、アドオンの追加、従量課金制の追加、プレミアムサポートの追加など、追加料金の仕様ってのは確実に生まれると考えておいたほうがいい。

その料金を都度請求するような場合には単発決済の API を投げれば済む話ではある。しかし、月末や月初などに一括で決済するような場合は、決済サービスの API に乗っかって実装するには困難が伴うことだろう。

月初や月末などの月のタイミングで一括で決済する方法は割とメジャーな PaaS や IaaS でも採られている方法だ。でもプラン料金以外に複雑に追加/値引料金が絡み合った実装を決済 API のサブスクリプションの仕組みで実現するのは難しいのではないだろか? 頑張って色々調べて サブスクリプションの決済API を呼べば可能かもしれない。でもそれよりも自前で料金を計算して都度 単発の決済 API を投げたほうが柔軟に、そして確実にサブスクリプション型の決済を成功させることができると考えている。これは私の経験上の話なので議論の余地がある。

トライアル期間は必ず用意する

会ったこともない人が作ったサービスを、顧客が一度も試しで使わずにお金を払うだろうか?

誰かと会わないでもサービスが使えるような SaaS の場合、無料トライアルの期間を用意するべきだ。お金を払った後に使ってみてダメだったという場合に、時間もお金も無駄になってしまう。

トライアル期間はサービスによって異なると考えている。 ドキュメント管理や経費精算など、トライアル期間からお金を払った後でも同様のデータをお客さんが使い続けられるのなら、長いほうが(1ヶ月以上)いいとおもう。反対にサポートツールなどはトライアル期間はあくまで内輪で試してみて、有料にしたタイミングで顧客からの問い合わせを受け付けると言った場合には2週間程度で十分かと思う。サポートツールなどは長くしすぎても結論が先送りになるだけになる恐れがあるからだ。

トライアル期間中に “~の使い方をご紹介します” 的なメールを1日1通レベルで送ってくるサービスがあるけど、あれが良いとは個人的に思わない。そもそもそういうメールは読まないし、メールをたくさん送るたびに、顧客は “あのサービスから送られてくるメールはスパムに近い” と思われるようになる。やがて課金情報などの重要なメールですら読まなくなってしまう。メールは本当に大事な時に送る手段と考えるべきで、メールで教えるよりもログインしてくれた後の機能が説明がいらないくらい明快なサービスにすることに注力すべきではないだろうか。

トライアルでどの機能を提供するのかもじっくりと検討したいところだ。トライアル期間で統計データを見せるような機能は本当に必要か?データがほとんどない状態で検索機能を置く必要はあるか?そして今後、顧客が下位プランにアップグレードした際に、上位プランの機能を知る術はあるか?

トライアル期間に上位プランの機能を使ってみてもらうというのは良いアプローチだと考えている。上位プランのメリットを知った上で下位プランに契約すれば、今後どのタイミングでアップグレードすべきかの判断が顧客が一番理解してくれるからだ。それとは反対に、例えば下位プランを使っている状態で、上位プランの機能のリンクや画像だけ表示させておいて、"上位プランにアップグレードすることで使えます" みたいなアラートを出したりするようなサービスもある。それでは、下位プランを使い続けようとしている人にとっては、単なる無駄なリンクでしかなく、ストレスを与えるだけだ。てことで何かしらの工夫が必要になることだろう。

トライアル期間をいかに満足に使ってもらえるかが、今後の顧客獲得に大きな影響を与えることになるだろう。営業やマーケティングよりも、カスタマーサポートが大事だってことが理解いただけたら幸いである。

終わりに

本記事ではよりサービスのスペシフィックな部分に焦点を当ててみた。今回の Stripe Meetup では料金体系周りの情報共有の場として貴重なものだったと思う。それぞれの月額課金サービスでの悩みや思想を聞くことで、「あ、このサービスはこういう思想があるからこういう料金体系にしているのか」だとか「そのサービスだとうちみたいな料金体系は確かに難しいな」などの新たな発見もあった。

今後もこのような場が増えていくと良いと思った。