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SaaS 運営で CRM へ保存しておきたい情報一覧

ども、@kimihom です。

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SaaS をやっている方であれば、顧客管理の重要性は誰でも理解していることだろう。メールやチャット、電話の問い合わせが来た時にすぐにその顧客の状態を把握して、迅速に最適な回答を導き出すことが求められている。この回答のスピードが早ければ早いほど、顧客満足度につながってくるので、いかにしてその対応を早くするかを日々考えていることかと思う。

さて、今回は SaaS を運営する方なら CRM で保存しておきたい情報についてまとめてみる。

1, ワンクリックで飛べるリンク

CRM にはあらゆる顧客情報が掲載されていることが前提なので、問い合わせが来た時にいかにその顧客詳細のページへ飛べるかが勝負となってくる。電話 > チャット > メール の順番でより素早いアクセスが求められる。

理想はワンクリックだ。例えば電話が来た時点でそこに表示されたリンクをクリックするだけで CRM の顧客詳細へ飛べる。チャットが来た時点でワンクリックでその顧客の属性や過去のやりとりが閲覧できる。その顧客を検索するために、わざわざ管理ツールで文字で検索しなきゃいけないような状態では遅すぎるということである。

私のサービスの場合は電話メールそれぞれでサポートチャネルを用意している。このどちらも、ページ内でワンクリックで CRM へ飛べるリンクが用意されている。そしてどちらのサポート対応の履歴も CRM で電話番号とメールアドレスを関連づけて保存しているので、統一して閲覧することができる。

こうすれば、電話しながらでも詳細を把握して速攻で問題を解決できるサポートを実現できる。さらに、電話を受けた後にメールでフォローするみたいなことも簡単にできる。これで電話を保留やあとでかけ直したり、メールアドレスを聞き出しているようでは電話サポートでの顧客満足度を実現するには難しい。

2, 外部サービスへのリンク

今の時代、サポートの SaaS 以外にも、あらゆる SaaS を利用してサービス運営をしていることだろう。Mixpanel で行動を分析したり、Stripe で課金処理を実行したりといった具合である。どうしても自社システム内の管理画面でしか表示できない項目もあるかもしれない。例えば現在の決済情報などは CRM 側にもマストで持つべきだけど、細かい情報全てを CRM に集約することは難しい。その場合は、CRM 側で外部リンクを保存し、いつでもすぐにアクセスできるようにしたいところだ。

こうすれば電話やチャットで問い合わせが来た時に、2クリックで該当ページへ遷移できる。これも、外部サービス側で id や名前を検索しているようでは遅すぎるし非効率的だ。

CRM で概要を閲覧できるようにしておき、問い合わせ内容に応じてより詳細のページを見にいくといった具合が理想的だ。

3, プランや MRR, ヘルススコア

CRM 側でプランや MRR, ヘルススコアが管理できる必要がある。大抵の場合、こうした情報は自社の管理ツール内で完結させることが多いかもしれないが、それは最初の暫定対応ではいいかもしれないが、しばらくして管理ツールの開発だけに時間を取られることになる恐れがある。特に、例えば、最終的に欲しいデータをグラフ化して表示できるようにしたいとかいった場合に、ユーザーが見もしない管理ページでグラフ描画の実装をしなきゃいけなくなる。自前で SQL を組み立ててチャート化するツールとかもあるけど、その集計のための学習や用意に時間を取られる。

大抵の CRM では、取引を管理できるようになっていたり、カスタム属性で MRR やヘルススコアを保存できるようになっている。そして、それらを最終的にグラフで描画したり、顧客をフィルタリングしたりできるようになる。

例えば MRR が 10,000円以上の顧客を VIP とした時に、自社の管理ツールですぐに取り出すことができるか。ヘルススコア30以下の顧客一覧を抽出し、フォローメールを送ることができるか。そういった分類と対応をわざわざ自前の管理ツールで実装しているのは、時間がかかりすぎだ。それに時間を割くなら、肝心のサービスの機能の改善をしていこう。

最終的に、それらがカスタマーサクセスとしての指標分析の土台となろう。こうしたデータをしっかりと管理せずに、カスタマーサクセスは不可能だ。そして、この分析をエンジニアがわざわざ自前で作らなくても、誰でも取ってこれるような状態にしなきゃいけない。だからこそ、こうした情報こそ 自社サービスの管理ツールで実現するのではなく、CRM へ保存するようにしよう。

ありがちな顧客管理の方法として、「単一チャネルのサポートだけだからサポートツール(Zendesk/Intercom等)に顧客情報を保存しておく」って対応をするケースがある。これはこれで手軽な部分がある反面、チャート描画や指標管理といったところで不十分になることが起き始める。検索やフィルタリングくらいまでならサポートツールの顧客管理で見られたりするが、そっから先(分析やチャート描画, 通知 etc)のことまで提供をしているものはない。今後、そのサポートツールが機能を提供するようになったとしても、サポート担当者以外の人もそのサービスにライセンス費用を払う必要が出てきたりするので、効果的なのかは怪しいところだ。

4, その他 SaaS 独自の顧客情報

サポートチャネルが複数あったり、マーケティングやセールスにも顧客情報を活用しようとなったら、そのサポートツールだけでは足りなくなってくる。厄介なことにマーケティングツールの SaaS, セールスの SaaS、他には従業員管理の SaaS までなんでも SaaS を利用するケースが出てくる。

それらを最終的に CRM でフィルタリング/分析していくので、本当に必要な情報はやはり連携を駆使して CRM 側へ保存していきたいところだ。あらゆるデータを CRM へ保存し、顧客を分析してより良い成功へ導いていく。これこそが「カスタマーサクセス」なのである。

終わりに

「成功する SaaS は CRM を駆使する。」そんな仮説を私は立てている。

顧客の動向を知り、顧客に最適なサポートを提供し、機能を改善していく。自社SaaS で最適な顧客の動向を定義できれば、その理想の顧客の獲得に集中することができる。顧客を知ることができないと、手当たり次第にサービスや機能を作りまくって一か八かのリリースを繰り返すことになってしまうのだ。

本当の顧客を見つけられるようにするためにも、今一度 CRM の本格運用を検討していこう。

CRM―顧客はそこにいる (Best solution)

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